死せる日向
北街かな


一瞬の寝覚めにまたたいた 陽の
照り返された羽ばたきに 影を見て

忘却の窓越しで永遠 ぽかんと寝そべっている
声を出しかけたまま息を止めて
かつての体温は記憶しながら
宇宙は何度も全部死んで、とりあえずまた蘇った

垣の小枝にとまる小鳥のくちばしに引っかかり
昼が明滅して 白が拡散する
この無音の中では誰もなにも思えない

悠久の繰り掛けの輪の中に飛び込んでまた
気宇壮大の夢を念じる
私は被爆した道路のまんなかでいつまでも
白く溶けながら焦げているよ
泡を立てながら期待している
気化して空になり 影を見送るあの世まで

一瞬の寝覚めの胸苦しさに死にたがり
忘却の日向で蘇る刹那を乞う
陽に羽ばたきを貫いてゆくように


自由詩 死せる日向 Copyright 北街かな 2009-03-19 17:34:34
notebook Home