兵士の歌
白糸雅樹
沸きいずる誇りを胸に抑えかね晴れ上がった日に甲種合格
われ一人屋根に上ればコーリャンの畑に数十人の敵兵
しゅっしゅっと弾はかすめる身をかがめもぐらのように進むわれらに
じゃがいもと思えば馬糞きりきりと身をしめあげる飢えにせまられ
凍る石、灼けた煉瓦にさらされた我の指紋は消えてもどらず
五年間 満州シベリア日本へと巡りし体のなかの銃弾
支邦人の寄せ来るを見てとび起きる夜明けのしじま鳴くほととぎす
武甲書店の店主の父君に取材してこの連作ができた。貴重なお話が伺えたことに感謝します、
短歌
兵士の歌
Copyright
白糸雅樹
2009-03-19 02:49:24
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