雨小石
砂木

骨を飲み込んだ壁の絵は
歩けるようになった
かすかに影をいだいて
陽をひきずり
音を避けて
草の渡れぬ反対側へ
道に線をのせた

ぽとり と雨が
さほど濡れない
ひさしのついた壁の
立ち竦む地面に落ちる

なぜ 骨を飲んでしまったのか
知らなければとかられる月夜に
喉さえふさぎさる霧の雨 一夜

線は消え
古い色が 流れ 
くる時に蘇る草の葉音が風に揺れる
なぎ払う葉先に立つ虫の影が壁にうつり

骨を拾ってください
と 言わずに消えた泥水のたまりに
沈んでいた木の棒が 杖をつく

爪を掲げる つぶれた小石



自由詩 雨小石 Copyright 砂木 2009-03-18 22:26:29
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