雨小石
砂木
骨を飲み込んだ壁の絵は
歩けるようになった
かすかに影をいだいて
陽をひきずり
音を避けて
草の渡れぬ反対側へ
道に線をのせた
ぽとり と雨が
さほど濡れない
ひさしのついた壁の
立ち竦む地面に落ちる
なぜ 骨を飲んでしまったのか
知らなければとかられる月夜に
喉さえふさぎさる霧の雨 一夜
線は消え
古い色が 流れ
くる時に蘇る草の葉音が風に揺れる
なぎ払う葉先に立つ虫の影が壁にうつり
骨を拾ってください
と 言わずに消えた泥水のたまりに
沈んでいた木の棒が 杖をつく
爪を掲げる つぶれた小石