nowadays
あすくれかおす



>>>>


天井を見上げるか、
テレビの音量を上げるか、
ファンヒータのスイッチを切るか。
思っていることが浮遊する夕方、
五時六時微熱、
答えを見つけようとする気持ちが少なくて、
脳が乾く。かわいてゆく。


<<<<


「切手の裏側にいます。
ここはまだかわいてます。
なのでしつこくしません」

綿の詰まった枕を、
半分折りにして後頭部でおさえたまま、
ありもしない置き手紙について考える。
数秒前に旅立った自分の。
そいつを追いかける自分の。

コンコンコン。
ドアをノックするのは。
後に、ピッピ、ピピッピ。
玄関先でなる、不在届けマシン(あれは何ぞの機械でしょう)の電子音、
道路と大きめ自動車の擦れ合う音、
自転車チェーンに絡まる傘の、カラカラ音。
マシンだらけてる、音の正体は次々にうつりかわり。
その隙間をぬって、冬の音を聞いて(総じる。私の全感覚で)。
少しの間鼻先で呼吸、音と一緒に赤切れて散って、
リヴァーブが耳に残る、
残って、
最後はやはりゆく。


>>>

お゛ーの゛ーこ゛ーし゛ーは゛ーあ゛ーき゛ーま゛ーへ゛ーん゛ーでー゛

ヨダレの垂れそうな濁音で敷き布団を震わせながら、唇の響きを感じる。
だけど妄想はマナーモード。
静まり返った湖面を這いあがる、
呟きはいつも想いのあぶくなのに、
それなのに、
どういうわけかこの心地、ぬけおちて、何かが沈む。




H-Met-Ala-Pro-Arg-Gly-Phe-、
Ser-Cys-Leu-Leu-Leu-Leu-Thr-Ser-、
Glu-Ile-Asp-Leu-Pro-Val-Lys-Arg-Arg-Ala-、OH。


今日は直帰で呪文を唱える
何をするんにも全力うさぎ



>>>>>>>>>>> 


旗をたててみた、
自分のものだと言ってみたくて。
家の前に、こもり、とモグラの勝手口くらいの小さな小さな丘を作って。
お子様ランチのように、まっすぐ突き刺して。
曲がっちゃダメだよ。
まっすぐ行くんだよ。
風が実に、さらっとしている。


<<<<<<

ぼくは全ての音から始まる一瞬の行き者です。
「とりとめもない」、の発音が、そのまま、「鳥とメモ」、と続いていくし、
そうしたら置き手紙の妄想マナーモード、に、戻る。も、どる。
も、$。も、$。


「も」の雰囲気と「$」の雰囲気がなんだか似ているので、100も、と書いてみたが、当然顔で100ドルとは似つかない。
似つかない。と書いてなつかない、猫のことを思い出した。
猫のえさのことを考えていたらシーザーサラダを思い出した。
シーザーサラダを思い出したら、渋谷のことを思い出した。
おかしいな。シーザーサラダは筑波で食べたのに。
おかしいな。
ある日のぼくの記憶や、いつかのぼくの記憶が、いっつもいつも、似つかないのはなんでだ。
なんでもいいのか。
どかーん(ふゆのおと)。



>>>>>>


冬メモ

いっとう すきな まじないを あなたに あげよう  
これから さきの おこないを あなたに ささげよう 
うながそう ひみつの あるないを あなたに ただよう
わたしがもつ きせきてきな たいないを あなたに みせよう

1625、なんもかんもが循環してゆく



>>

4う4う4う4う4う
これは音の記号で。
意味は
<たがいの雰囲気ちがうから、すぐに取っ組み合って、かつ、離れられない恋人たちのように>
ステレオタイプに
音の設定もそのように

(テレスコーピオンに転生して、見つめる、先の。
つじつまの中心を望遠してぶっ刺す、しぐさの練習)

<<<<<<

残ったおだんご四つもいらない。
みち、たり、てる、くし(おだんごの名前で)に、まとわりついた、
たれ、
あいつが心拍数をあげていくその気持ちに、
いとま、私はのりうつって、みようか。



なめとられる恐怖!!

なめとられた安堵感。




幸せだというなら輝いていてね。
住まいに何ワットかかってもね。
どうか有様を続けていてね。




<<>>>>>>


今日も 夕方が 過ぎていくのですね
別に 過ぎていくのは 夕方だけでは ないですね
わたしは ずっと 待っています
きぼう ではなくて
あい ではなくて
ぜつぼう ではなくて
あきらめ でもなくて
あだうち が 
できるシーズンを 

なんに あだうつか 
それによって
あなたの
リズム感 が わかりますから

あだーだ あだーじょ あだうち あのじょしに (4つもいらない 4う4う)



<<<<<<



くさった さった くった さた くさ


こういう遊びをすると
いちばん早くここからいなくなってしまうものが いちばん好きなんだと思い込もうとする癖がある
どのみち全部がなくなるけれど/
なくなる順に愛するなんて
よくばりでしょうそうでしょう




おかしなことを言っている?
わたしはみつめ 続けているだけ
しょうもうしつづけてる自分のうみと うみのしょもうを しょもうするものを




***




「あなたへ」

あなたもいつかは/やめてしまうのか
素敵な繰り言 なるオクターヴ
それとも旗では/わかちがたい
あなたの/うみの/深水に
たびだちはじめる/だけなんですか

(沈むあぶくの/きらめき/が
見えなくなるころ/さよならをする)



<<<<<<<



「君」



君のは、文ではなくて、総じて声だと思う。
君の旅立ちは、すべて声だとおもう。
字はzip、
音をあげて広がる圧縮ファイル。
広がったイメージは、声だとおもう。
口から旅立ち耳に入り、内側の目に広がり、
見えない外側の空中にそれを感じて、
自分の手でそれを触ろうとする時間、感覚。
それが君なのだとおもう。君nano。
君はずっと続ける。
いつも武者ブル。
それでもやめない。



>>>>


舌を絶っても消え去らないなら
あの日の言葉は甘味ではなく

しょぞんせぞんせいぞんれぞん/の/腕押し
言うな/みずから/問うな



***



「nowadays」



そっぽを向いたようにして/
ふいに撒かれた種子たちが/
風を呼んで/
土を食むように/
ぼくたちの/
眼差しは交換されるだろう/
明るみを失った視力が/
互いの声により息吹くだろう/
ぼくたちは/
全てをいれかえあっても/
交感しつづけるだろう/
ふいに撒かれた種子たちが/
そっぽを向いた/
ようにして/














自由詩 nowadays Copyright あすくれかおす 2009-03-18 19:53:22
notebook Home 戻る