ばらいろ
あ。

甘い香りに全てを奪われ
何から伝えたらよいのかわからなくなった


不意に瞳に触れるのは
隅に佇むすべりだいと
少し汗ばむわたしの右手


人の手では作ることは出来ない
きっと生まれたときから持っている
思わず見とれてしまう彩り


全てさらわれてしまった
わたしは目線をうろうろと泳がせ
詰まった胸をぐっと押さえてひとことだけ
ひとことだけ発する


全部、ばらいろだった。







自由詩 ばらいろ Copyright あ。 2009-03-18 15:24:40
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