男一人女一人幽霊二人
ヨルノテガム








  「夢の言葉」


 わたしはあなたに声をかける
 あなたは静かに両手を広げる
 わたしはあなたを見つめる
 あなたは見られることに慣れている
 わたしはあなたにふれる
 あなたはそっと息をひそめる

 あなたは二千円の花かごだった
 わたしは病んであなたに見舞われたくなった

 あなたはきっと夢の言葉を知っている




 「男一人女一人幽霊二人」


 僕が元気なとき

 君に逢いたい

 僕が元気でないとき

 君が本当に嫌いになる

 そして僕は とうの昔

 芸術に魂を売ってしまっている



 君は幻影である




  「彼と彼ら」


 結婚したひとへ
 ボクがキミであっても不思議ではない
 毒や病に冒され続けるひとへ
 キミがボクであって不思議でない
 自然と愛を捧げる芸術家へ
 ボクはキミと形は違っているかもしれないが
 キミがボクであって不思議ない
 音楽家、殺人者、被害者、通行人、
 事故者、建造者、朝食作り人、
 階段を上がる人、キミが
 ボクであって不思議はない

 ボクはいつまでも少年のままである
 キミが大切にしているものを
 十年かけて
 表現してみないか


 花束をあげる
















自由詩 男一人女一人幽霊二人 Copyright ヨルノテガム 2009-03-18 07:11:03
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