ゆめ 〜桃色の朝〜
さくら

長い長い、ゆめが落下して
重さを忘れたわたしは、大きな幹の鼓動を聴いている
その音と音のリズムが春の速度と似ていて
甘い甘い、きみも落下する
そこらじゅうに溢れているのは、
多分、今年の
さくら


枝先から君が流れて、大地へ
太陽をまたいで落下している
まだ知らない桃色の、浅い朝を
眠ってばかりいる
わたしのそばで、きみが笑う


強さってなんだろうって
きみは言って
深く深く、抱きしめるきみの肩は
いつも、かすかに震えていた


いまだ水を欲している
埋め尽くされた分子をたどって
その外側から還る
質量の分だけ、大地は根をはっていて
ゆめをみる
桜のような


名前のない時間を
朝と呼ぶと、
わたしたちは一往に保たれていた


自由詩 ゆめ 〜桃色の朝〜 Copyright  さくら 2009-03-17 12:06:07
notebook Home