ゆめ 〜桃色の朝〜
さくら
長い長い、ゆめが落下して
重さを忘れたわたしは、大きな幹の鼓動を聴いている
その音と音のリズムが春の速度と似ていて
甘い甘い、きみも落下する
そこらじゅうに溢れているのは、
多分、今年の
さくら
枝先から君が流れて、大地へ
太陽をまたいで落下している
まだ知らない桃色の、浅い朝を
眠ってばかりいる
わたしのそばで、きみが笑う
強さってなんだろうって
きみは言って
深く深く、抱きしめるきみの肩は
いつも、かすかに震えていた
いまだ水を欲している
埋め尽くされた分子をたどって
その外側から還る
質量の分だけ、大地は根をはっていて
ゆめをみる
桜のような
名前のない時間を
朝と呼ぶと、
わたしたちは一往に保たれていた