春日幻影
Giton

日はでても見えぬ季節と
なり タワァ排煙をのぼせ
葱嶺パミールいよいよひかり

    ☆

むねをつく はばたきの音
夢ときえ
夜半よわの水面みなもに 鐘楼の影

    ☆

陸奥国の
雪なほ斑まだら 枯れ原に
一毛イチゲ尋ねて ひがなさまよふ

    ☆

ふゆをこし
ましろきかほの袖うちゆ
はや小麦色の にほひたつらん

    ☆

われより体温あたたかい君の目に
もう八月の珊瑚礁うつる

    ☆

静寂しじまこえ
いつとも云はず けふ来たれば
まぼろしのごと舌重ねをり

    ☆

狂ふとも生きてあらなん
しければ しりてこそ止
つる花のした


短歌 春日幻影 Copyright Giton 2009-03-17 00:17:39
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