海にうつむく
かんな

こたえはいつも
波打ち際にあるから
海をみている
らしくないなだらかな
涙は
とぎれとぎれに使う
不自然な単語とともに落ち
髪を
かきあげてかきむしる
指先に絡まる事実を
爪ではじく

春が
近いようで
またなびいて遠く
波のようにゆきつかない
ものがたりのない
感情たちは
きっと行き場がない
埋まったとおもっていた
ぽかり
あいた心の内は
涙で溢れることさえしらない

朝は
いつも平坦に訪れて
懐かしむ
夜の終わりの記憶をうばう
流れてゆく
涙の根源をさがしても
やはりゆきつかない
と諦める
もう一度だけ
薄まった思い出の色を
心の内につぎたせたなら
いつかまた

誘われるままに
風を
つかみきれないで走っていても
指先がえがく
あいまいな放物線がいとしく
平坦につながる
地面の先に
またつながる
やわらかな温もりに
ただ触れていたい

あの夕陽の
ずっと向こう側へ
ありふれた嘘や
まちがいだけがあったとしても
ゆきつけない
ことはない
いつか流れて
いつしか乾いた
涙の道すじに沿って
うつむいていてもいい
歩こうか



自由詩 海にうつむく Copyright かんな 2009-03-16 19:55:18縦
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