『ワールズ・エンド』
東雲 李葉
昨日見た夢の中では街中の電線が絡まって、
君のお家ではテレビが消えて妹さんが泣いていた。
君はおろおろ困った顔でどうしたらいいか私に電話を。
残念、お家の電話は使えない。私のケータイ知らない君が悪いんだよ。
夢はいつもぽつぽつと途切れては繋がりを繰り返す。
一旦ここで話は終わり次はどこかの校庭で、
理科室の窓に吸い込まれる青い青い空を見た。
取り残されて不安な私は空の行方を追い掛けて、
辿り着いたその部屋で神様のヒマ潰しを見届ける。
いくつもの色が入った試験官を振ったり混ぜたり移したり。
楽しそうでどこか淋しいその遊びは私が骨になっても続けられていた。
時々恐れているのは、
誰もそこにはいないこと。
へその緒の先も御祭騒ぎも私一人が演じていること。
お届け物を持ってきました、と玄関の方で声がしたから、
印鑑を持って応対したら宅配員は私だった。
中身は空の試験官。あの日を思い出して振ってみたら、
見る見るうちに空は濁って呆気なく世界は崩れてしまった。
絡まったままの電線はとうとう千切れて灰になり、
鳴らないケータイを握り締め私は君に電話し続ける。
何回も、何回でも。