条件感謝
エルメス
我々に与えられた条件は、必ず不平等である。
家庭環境、性格、長所、特技、その他、人間の状況・特徴全て。
それがつまり、個性と一般に呼ばれているものなのだが。
その条件に対して不満を覚えることは、誰しもある。
……もし覚えたことがないのならば、自分は相当なナルシストなのだ、と自覚したほうがよろしい。
その不満に甘んじて、他人に対して羨望の眼差しを送るだけで、何もしない人間は大多数だ。
自らも、羨望の眼差しを受ける対象だということを、きっと忘れているのだろう。
与えられた条件は、どれだけ嘆いたって変わらない。
どんな風に振舞っても自分は自分だし、殺しても自分は自分だ。
「自分」という条件から逃れることは、原理的に不可能である。
ならば、自分に与えられた条件の中で、何をするのか。何ができるのか。
それを考え、実現に向けて積極的に動くこと。
これこそが最も重要なことであり、これに比べれば、もともと与えられた条件や結果など、瑣末なものである。
もし条件がなかったら、人間なんて何もできやしないんだ。
どんなに恵まれていない条件であろうと、条件が与えられていることに、まず感謝すべきである。