未完の、ソネット 「落下」
望月 ゆき

フリーズ、
見たことのない、遠い地で
顔のない男がつぶやいて 直後に 
先端が、わたしの中心を穿つ


貫かれた体内へと
ぬるい、分泌物の侵蝕が始まるのを
指折りかぞえるあいだ、ずっと
魚は うろこを一枚ずつ剥いでいる


はだかになることで、なお
わたしが纏っているものがあらわになり
それしかほかに知らない方法で
求め合い、


水のない夜に、魚と
心中する




自由詩 未完の、ソネット 「落下」 Copyright 望月 ゆき 2009-03-13 16:51:13
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