『虚像の顔』
あおい満月

 真実に化粧をして
 嘘のしみを隠す
 わたし

 みえない虚像の「顔」をして
 日々を歩く
 わたし
 
 もう みえない「顔」に
 馴れてしまって
 虚像の世界を
 生き語る
 
 人工の風が必要な
 都会の空のように
 
 過酷な時間を
 生き抜くために
 必要な嘘がある

 空想を
 半分綴った経歴書
 もっともらしく
 印まで押して
 あなたの眼鏡に
 叶うために
 虚像の「顔」を
 歪ませ微笑む
 ちっぽけなわたし

 誰も気づいていない
 だけど
 確実に気づかれている
 消えない傷も
 
 それでもわたしは

 進み続ける

 前へ

 ただ

 前へ






                        2009.3.12(Thu)


自由詩 『虚像の顔』 Copyright あおい満月 2009-03-12 20:41:28
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