麻酔の切れた 風見鶏は 錆びついた羽で 取り戻したくて 逆回りを始める けれど 優秀な風見鶏は 一度たりとも 選択肢を誤ったことは なかったので わからなかった 西なら西を 北東なら北東を 吹雪でも月蝕でも 正しいことを 正しいと思うことを 繰り返してきた 小鳥たちの囀(さえず)りに 四季薫る風に聴き惚れながら 信じれば夢は叶うと 少しずつ近づいていると 軋む足を励ましながら いくら回ってもとどかない空を仰いで。