heaven
ロリータ℃。
あの頃顎下で切りそろえた黒髪は
いつの間にか胸下まで伸びていた
美しい茶色の髪を、あたしは毎日ゆるやかに巻いている
あの頃短かった不細工な爪は
桜貝色の花やきらめく石がのっている
あなたの頬すら傷つけてしまいそうな
不自然な長さで
少女だった私はあの時
いつか羽化し飛べるものだと思ってた
けれど私の半端なだけの美しさ
生きやすくなるだけのただの道具だと知ったんだ
お花の柄の素敵なシャンパンを飲みながら
あなたは私の髪を撫でただ笑う
剥き出しになった肩から覗く
夕べの名残を後悔するように
知っているんだ
美しさは武器になること
だから私は今日も食事を抜くだろう
味覚を感じないだけなのに
そんな言い訳で壊れたことをただ隠す
知っているんだ
半端なだけの美しさじゃ
あなたを繋ぎ止められないこと
嘘ばかり紡ぐこの唇が
素直になれたらきっと違っていたかもしれないこと