夕暮れに呼ばれた感情
あ。

肩を叩かれた気がして振り返ると
日が沈もうとしていた


曖昧な藤色の空にうっすらと月が照り
のっそりと歩く野良猫の姿も徐々に溶ける
全ての輪郭がぼんやりとしており
書きかけのデッサンのようで


急ぎ足で家路に向かう人々が
少しの風と共に通り過ぎる
色はとっぷりと濃くなってゆき
ぼんやりとしていたものも見えなくなる


感情は余り過ぎて
とうに溢れかえってしまった
残ったものは何もない


自由詩 夕暮れに呼ばれた感情 Copyright あ。 2009-03-10 13:34:28
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