修羅を読む(5)
Giton

雲の眼路 光る山脈
なびく髪 鹿ししの鼓笛に
いにしへ返へる

    ☆

銀の微塵に 黒鞄のイムバネス
ゆれる菅穂 火山灰のみち

    ☆

稲の槍
黄水晶シトリンの夕べ佇む 古びた黒衣
牛飼ふ師父よ

    ☆

原体はらたいの 胸波だてる わかものら
菩提樹皮まだかは 縄の 山の戦士ら

    ☆

わかやかに
かがやく肌膚きふと筋骨を
ぶなと腐植の間に削り
蛇紋地やせち憂ふる日と風の
野に年累ね 師父たらん汝れら

(反歌)
原体の銀河のまつり 夜も更けて
太刀と鼓の音に 高原の月

    ☆

ぐみの木ひかつてゆする
蓼の花
おまへをなんべんも
風のなかで呼ぶ

    ☆

「林のながさ来たよだ」
松精テルペン
栗鼠のやうに
したふおまへに

    ☆

風の音
流れる栗鼠 立ち止まり
いぶかしさうに こつちをみる


短歌 修羅を読む(5) Copyright Giton 2009-03-09 20:33:29
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