だって、あなたはスーパースター
百瀬朝子
無意味に
ただ流れる涙に
その意図を知りたくて
それは無意味で、
わたしはゆれる
ゆれているんだ
だって、あなたはスーパースター
闇に攫われた少女を助けてくれた
そこに意図はない
だって、あなたはスーパースター
暗闇の恐怖を知っている
だって、あなたはスーパースター
救い出す方法を知っている
悲しいことがなくても喜びで溢れる涙もある
スーパースターに泣かされた少女の涙は
どんな感情と一緒に流れたの?
スーパースターのあなたも知らない
少女の胸に眠る感情のあくびだってこと
それは春のやわらかい日差しの午後に
心地よい眠気に釣られて思わず出るような
そんな種類のあくびをしたときに滲む涙を思わせる
世界一やさしくて、世界一あたたかい
無意味に
ただ流れる涙に
その意図を知りたくて
本当はもう知っている
傷つくのが怖くて
傷つけて嫌われるのが怖くて
見て見ぬふりをしてきたんだ
気づかないふりをつづければ
スーパースターのあなたは永遠に
何度でも少女を助けてくれるから
それは無意味で、
少女は大人になる
スーパースターのあなたも
少女だったわたしも
過去に閉じ込めて
少女は大人になる
成長に歯止めなんて利かなくて
わたしはゆれる
ゆれているんだ
だって、あなたはスーパースター
所詮、夢の中