修羅を読む(3)
Giton
融銅は眩めき 光とどまらず 吸い尽くされて
空に星々
☆
ゆれ澱む気層の底に
ふりそそぐ琥珀のかけら
苦きいかりに
☆
やぶぬけて
正午の管楽繁ければ
腐植の湿地 足速やに過ぐ
☆
詩とはそも 虚栄の狐
ほほゑむや刑死の骸
神々も哭く
☆
玲瓏の海 聖玻璃の風わたり
天山の稜に 黒い Abies
☆
眼路の限り雲砕けたり
玉髓の雲飛び ひかりの
底で鳥啼く
☆
かげろへば日輪青く かなしみの
魯木は黒く 逆しまに垂れ
☆
喪神の
からす ひらめく
ふたつ世を 往き来し
二重の 風景を裂く