修羅を読む(3)
Giton

融銅は眩くらめき 光とどまらず 吸い尽くされて
空に星々

    ☆

ゆれ澱む気層の底に
ふりそそぐ琥珀のかけら
苦きいかりに

    ☆

やぶぬけて
正午の管楽繁ければ
腐植の湿地 足速やに過ぐ
    ☆

詩とはそも 虚栄の狐
ほほゑむや刑死の骸
神々も哭く

    ☆

玲瓏の海 聖玻璃の風わたり
天山の稜に 黒い Abies いちれつ

    ☆

眼路の限り雲砕けたり
玉髓の雲飛び ひかりの
底で鳥啼く

    ☆

かげろへば日輪青く かなしみの
魯木は黒く 逆しまに垂れ

    ☆

喪神の
からす ひらめく
ふたつ世を 往き来し
二重の 風景を裂く


短歌 修羅を読む(3) Copyright Giton 2009-03-09 06:50:53
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