春の似顔絵
ことこ

えんぴつの先をねぶると
木のぬくもりと
黒鉛のつめたさ


三寒四温だよ、と
町角ですれちがった
親子の会話が
耳に残る


繊維に染みわたっていくのは
甘みではなく、
苦みでした


  (ダイヤモンドの美しさから)
  (思わず目をそらす)


誕生石を
胸もとに飾ることは
まだできないのです

まだ。


手に刻まれていく
黒鉛は
春を待ち望む
証として、


自由詩 春の似顔絵 Copyright ことこ 2009-03-08 22:54:55
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