迎春
山中 烏流








三角コーナーから
芽が生えて
もう、そろそろ
ひと月になるのでしょう


靴下の要らない
そんな気温が
続いたものですから
私の足は
いつの間にやら
真黒になっていました


土の匂いに
長雨の便りを願う、けれども
傘を忘れる癖は
治りそうにありません
雨とお散歩することが
私にとって
幸せ、だからでしょうか


庭に置いた植木鉢からは
植えた花、ではなくて
たんぽぽの芽が
ひっそりと出ています


畳に横たえて
その、暖かさに微睡んだとき
私が溶け出して
畳へと融和していく
夢を見ました


ふすま越しに
柔らかく光る電灯を
指でなぞりながら
ああ、と
一つ溜め息をついて
微笑む
そんな、夕べ







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自由詩 迎春 Copyright 山中 烏流 2009-03-08 02:12:20
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