君は煙になった
きるきすみー

泣いてばかりの君も
火をつけられて数時間後には
カスカスの白い骨になっていた。
僕たちは黒をまとっているのに、
彼女だけは彼女じゃないみたいに、
白い針金になっていた
これが君を操っていたのだ、と
知った時
そういえば君は華奢な体をしていたなあ
と思い出した
白い病院にいつも居た君は昔から白に共通点があったのかなあ
細い腕で抱き締めたいといわんばかりに君は
おかえりと言ってくれた。
小さく細く消えそうな、
そうだ、今見ている骨みたいな声でさ。
日が過ぎていくごとに
君の声は薄れていったけれどね。

バスの後ろを振り返ると
大きな建物から煙が出ていたんだっけ。
ああ、君は今白になりつつある。
?どうして彼女はここで僕と一緒に泣いていないんだろう?
もっと早くに泣くべきだった。

僕は君が火をまとう瞬間を見ていない。
君が居なくなったというのに嫌に豪華な?お?食事を食べて、
僕は笑っていた気がする。
同じバスに乗ってやってきた場所は
空腹だけど食べなくてもいいやと思ってた以前に来た場所だった
ゴゥンと大袈裟な音をたてて厳重に鎖された扉が自動で開いたら、
そうだよ、話した通り。
君は白かったなあ

白く霜がかかった肢体がまた白になった。
綺麗な白でしたから、
心配は要らないですよ、

一年経ったけれど
君がおかえりを言わなくなっていくつ泣いただろう
僕もただいまを言わなくなったからおあいこだね


煙は綺麗な灰色でした、
その日は曇りでしたから、
見事に空に消えていって、
今度は雨が降りました。
きっとこれは君なんだろうな、と思ったので
大口を開けて上に居た君を見てやりました
けれども僕の口に君は入りませんでした。
君は拒んでいるのですか、

黒く大きなふちに囲まれた君は笑っている。
だから、笑顔しか思い出せなくなりました、
少ししかない笑顔もいずれは曖昧に崩れ果てていくのでしょう。
君は煙になった。

けれど今、何処に居るのかわからないですから、
僕はきっと君を思い出す価値すら無い。


自由詩 君は煙になった Copyright きるきすみー 2009-03-06 17:33:30
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