ひらめけ!電球
かいぶつ

なにか良い案がひらめくとき
人のあたまの上で電球が点ります
あたまをいくらひねっても
なんにも思いつかないのなら
そろそろ電球の交換をしてもらいましょう

今日も電気屋さんは
町のみんながひらめくようにと
たくさんのひらめき電球を
交換しに行きます

新しい遊びを考える少年
恋愛の法則を考える少女
哲学について考える青年
夕食の献立を考える奥様
骨の隠し場所を考える犬

人は悩みやすく
思いつきは儚い?

やはり夜中に考えごとをする人が多く
電球交換は深夜までつづきます
ようやくすべての交換が終わるころ
外には朝の気配が近づいていました

回収した電球を抱え
部屋にもどった電気屋さんは
寝るまえに必ずすることがあります
それは使い古された電球を
クリスマスツリーの電飾のように
ひとつひとつコード付きのソケットにつなげて
いっせいに電気を流すことです

するとたったひとつでは弱々しく
手もとを照らすにも頼りない
切れかけの電球が
ひとつの場所に集合し
明滅を繰り返すことによって
まるでオーケストラのように
なんとも楽しげな
光の交響曲を奏でるのです

電気屋さんは眠ります
小さな演奏会に
耳を澄ませながら

  本当はエジソンみたいな
  発明家になりたかった。



町の電気屋さんは
今日も大忙し

ひらめけ!電球

どうか未来を明るく照らす創造性が
みんなのあたまの上に
ハッ!とひらめきますように!


自由詩 ひらめけ!電球 Copyright かいぶつ 2009-03-06 05:18:32
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