傘一本で
chick

東京で傘を買った
気温が高くて雪にはならなかったから
雨なんて何ヵ月ぶりだろうと思いながら
コンビニで傘を買った

とことん後悔してへこんだ日だった
少し早めの時間の空港で電話をかけた
留守電に残すはずだったのに電話に出やがって


この傘で人を幸せにできないかな


もう雨は止んでいて
こんな日に人に優しくしたくなる自分は卑怯者で
傘一本で世界が変えられるわけではないのに
このまま傘を捨てるのは、もったいない気がした

君の声はちょっと困っていて
きっと声だけでへこんでるってばれてると思ったら何も言えなくて
だけど、次の言葉は君の番


じゃぁ、ちょうだい


気付いてしまった
地球の裏側まで愛せるわけがなくて
地球の裏側を愛するくらいなら目の前の人を、もっと、深く、長く、惜しみなく愛したいということに
見知らぬ人を愛することも、愛する人を愛することもきっとすばらしいことで
愛に優劣なんて、ない


それで君を幸せにできる?

できるよ

それなら、あげてもいいよ


心にも少しだけ、晴れ模様


自由詩 傘一本で Copyright chick 2009-03-04 18:37:12
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