プシュっと
K.SATO

電車の窓に映る姿
流れる瞳や鼻に心の形を委ねていた
地下鉄は暗いので
ガラスに特によく見て取れる

プシュっと、
扉が開く度に
人が出ていくヘッドフォン

つり革につかまる自分の前の
手摺りの上にもたれていると
人たちを息から吹きかかり
扉を白が薄く伸びてついていく

流行の曲が流れていく

生きる人の姿に今が体の底で重なり
熱いものが目の前からこみ上げてくるのがわかる

プシュっと、

扉が開く、
次だ出番は

携帯を折り畳んでバックにしまいこむと
ヘッドフォンもしまった
立ちつくす窓の流れの足の中
踏ん張った人たちに
私自身が立っていた


自由詩 プシュっと Copyright K.SATO 2009-03-04 00:31:22
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