プシュっと
K.SATO
電車の窓に映る姿
流れる瞳や鼻に心の形を委ねていた
地下鉄は暗いので
ガラスに特によく見て取れる
プシュっと、
扉が開く度に
人が出ていくヘッドフォン
つり革につかまる自分の前の
手摺りの上にもたれていると
人たちを息から吹きかかり
扉を白が薄く伸びてついていく
流行の曲が流れていく
生きる人の姿に今が体の底で重なり
熱いものが目の前からこみ上げてくるのがわかる
プシュっと、
扉が開く、
次だ出番は
携帯を折り畳んでバックにしまいこむと
ヘッドフォンもしまった
立ちつくす窓の流れの足の中
踏ん張った人たちに
私自身が立っていた