あの山裾の
Giton
あの山裾の梢をわたる
すきとおった碧い風をおいかけて
どこまでも はしっていきたい
だれが紡いだのか
硝子の鱗片おしのけ膨れあがる
糸屑を どこまでもほぐしていきたい
畏れを知らない敏捷な獣にまたがり
息揃え鼓動をあわせて
森ふかく どこまでもはいっていきたい
炬燵に蜜柑もりあげ ぬくぬくと待っている君は
テレビを見てはいけない
でぃいえすをしてはいけない
携帯電話機をもってはいけない
ぼくの魔法を解かすようなものを
いっさい身の回りにおいてはいけない
ぼくがユニコーンにまたがって
夜明けの窓から吹き込んだときに
君を夢ごとさらっていけるように