陽の見える丘まで
邦秋

この街の灯(あかり)が消えぬうちに
夢に現わる丘を目指して歩き続ける
言葉はやがて生まれず
ずっと風をよける 陽のみえる丘まで歩き続ける

冷えた僕の体をあたためる人もなくて
醒めてた僕の瞳に気づく人もいなくて

坂道を上りたい、上れない
自分の姿さえ見失ってしまう
読めてた未来がいけないのか
これは夢か現か 運命の悪戯か

『いずれ見える陽だから』と笑みを浮かべてた
空に見える人の顔が懐かしく見える日がくる

姿なき道が 僕の肌を忘れない、と
語りかけてた夜(ゆめ)が終わり 今日も届かぬ丘

今 瞳にうつる姿をおぼえられない
そんな意識の中で ただ陽を追っていた
隠せた感情も顔にだし手をかざした
陽のみえる丘まで歩き続ける

『ここに幸(さち)はないか』と尋ねたその答は
無表情で僕を見る砂だけが教えてくれた

やがてみえてくる星の下でたたずんでいた
何も要らない ただ陽を見たい あなたに染まりたい

姿なき道が 僕の肌を忘れない、と
語りかけてた夜(ゆめ)をみたい もう一度だけ...
姿なき道に迷い込んだ この体で
歩き続けた 何も知らない 今日も見えない丘


自由詩 陽の見える丘まで Copyright 邦秋 2009-03-02 20:00:23
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