スイッチ
山中 烏流








switch.

ずぶ濡れになった脳漿に
楔が溶けるような、
  おと。おと、

踏みつけて割ったCD/私はそれをまるで他人のような目線で見ている/お気に入り、だったというのに/あ、あしがいたい、/。


剃刀が私の指になる
 爪先から
ぴりぃ、と、裂けていく

漏れいでる様々
触れる、その反動により
まばたき一つで
震えてしまう喉が憎い



switch.


配信元は>>銀河系

昨日の洗濯物が放出したであろう
嗅ぎ馴れた匂いが降り注ぐ


こころのうちがわを
こっそりノックしたら
うっかり/まちがえて

いちばん
やわらかなところに
ふれてしまった
それだけの、はなし


配信先は>>物干し竿

「ハロー、Hello
 最後に役目を果たしたのは
 いったい
 いつの話なんだい」



switch.


私は
明日、生まれ変わる

割り箸鉄砲の銃口を
こめかみにあてがえば
何度でも、やり直せることを
知ってしまったからだ


一度
死んだ気になってみたところで
何にも変わらない、と
つぶやいたのは
きっと私


ぱちん、
はじける音の後で



飛び散る
     ももいろの。



switch.



「ムズカシイハナシをしよう、
  自分ですら分からなくなるような
 ムズカシイハナシを。」










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自由詩 スイッチ Copyright 山中 烏流 2009-03-02 03:10:39
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