数え切れない命のひとつでも
あ。

たんぽぽの綿毛が木の枝に引っかかっていたから
指先でつまんで土に植えた


花は咲き木々は茂る
虫がいて動物がいて人間がいる
目の届くだけでも
数え切れない種類の命があり
全体数など計り知れない


この綿毛は
その中のほんのひとつだ


わたしという人間の力は
この小さな種を救うことしか出来ない
あまりにも無力で
暗闇の中に放り出されたような心細さ


えらそうなことなどとても言えない
背伸びもすぐにぐらぐらするから得意じゃない
ただ届くところに
手を差し伸べることが出来れば
と思う


眩しさに振り返ると
目のくらみそうな夕焼け


自由詩 数え切れない命のひとつでも Copyright あ。 2009-03-01 22:39:16
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