この世界をどうにかしてしまいたくて
虹村 凌
教室の蛍光灯を全部ブラックライトにして
みんなのシャツを真っ白く浮かび上がらせてやろうぜ
ノートも教科書も薄青く光って
きっと楽しいから
公衆便所の便器を全てショッキングピンクにしてやろう
床と壁と天井は真っ黒く塗り潰してやろうぜ
ジャクソンポロックみたいに白と赤をぶちまけて
オシャレな便所にしちまおう
電車やバスの車体に絵を描こうぜ
下手だとか上手いだとかはどうでもいいから
好きなように絵を描こうぜ
どうせ窓の外の景色見てる奴なんかいねぇんだ
ついでに蛍光灯をブラックライトにしちまえ
それで世界が変わるとか考えてないし
別に有名人になりたい訳でもなければ
アーティストとかになりたい訳でもない
これはきっと悪い事だろうから警察沙汰にもなるだろうし
捕まっても世間が味方についてくれるなんざ考えちゃいねぇ
ただちょっと気にくわないからやってやったのさ
世界に絶望してる訳じゃないよ
俺が俺と言うだけで愛してくれるような女といたいって話でもないし
殺人の館なんてのをおっ建てて人を殺したい訳じゃない
ただなんとなく造形が気にくわないから
ちょっとしたイタズラをしたいのさ
寝る前にそんな事を考えたよ
ブラックライトを眺めながら
俺は黒いからブラックライトじゃ光らないけど
色白な女の子はどんな風に光るんだろう
君の肌の上にブチまけたい精子は
どんな風に光るんだろうね