日常
ひじり
詩を書くことも忘れていた
七色のの宝箱だった本棚はいつしかビジネス書で灰色に染まり
楽しげな文字が躍っていた手帳には無機質な箇条書きが並んでいた
歌うことも忘れていた
軽快なリズムを刻んだでいた右足はイライラと貧乏揺すりを繰り返し
かつて伸びやかに吸い込んだはずの空気は重いため息となって吐き積もる
楽しげに揺れていた肩は北風にぶつかって震えているし
空の青さに涙した瞳は瞬きもせず干からびている
そんな私に幼子は
命の温度を伝えてくれる
握っていたはずのあの指を私はいつ手放したのだろう