レヴィアタン —嫉妬—
セルフレーム


渦巻く大海

荒れ狂う空の下


―レヴィアタン



昔 昔 だけれどね

覚えているよ あの姿

怖いものなしの強い船長が

唯一 怖がっていた 水の悪魔


―レヴィアタンに会ったらいけねぇ

必ずだぜ

死んじまうんだ

あの鋼の身体と 巨大で不気味な牙

オレでも 思い出す度 怖くなるんだ



でも レヴィアタン

もう いらないさ

「海の怪物」なんてさ


ヨーロピアンの黄金時代は終わったんだ

最後の一隻 最後の一人

オレだってもう 死ぬ寸前さ


今となれば

海を自由に泳げたお前に嫉妬さえ する


あの時

オレがもしも

お前みたいに泳げたらなぁ


レヴィアタン

お前の周りは きっと

憎しみや苦しみや

そして 大きな嫉妬が

渦巻いているんだろう


それを紛らわすため

お前は泳ぐんだろう


レヴィアタン でももういいんだ

最後の一人のオレが

もう死にそうなんだ


黙って

水に還れよ


―なぁ 船長

レヴィアタンに会っても オレは

生きていたんだよ

死んだ 船長等には

申し訳ない

悔しいんだ

それが オレの人生の中で

たった一つの気がかりさ

そして

最大の罪だと思ってる―




自由詩 レヴィアタン —嫉妬— Copyright セルフレーム 2009-02-27 22:13:05
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