雨の子(3)
唐草フウ
粒のわたしは憧れていました
見えない世界を思っていました
地にしみこむ者たちも きっと
一度は考えたことがあることを
それは、雨のうえのせかい
みあげたところは真っ白 というくらい
遠くで放つ光が(―ヒカリというのも知らないけれど)
太陽だということを
知らないけれども 近づきたいと
ほんの少しだけ思っていました
暗い場所にぽつんと出口が
夜の空にはありました
欠けては、満ちるもの
―月ということも
雨たちは知りませんでした
冷たい風 強い風に
導かれるまま 雨は空中を泳いでいます
ぬかるみがかわく前に ほんの少し
雨の子たちが見ることのできたのは
真っ青な大地の広がりと
砂をパララとちりばめた
とおくのとおくの星の群れ
雨の子たちが 目をとじて
そっと消えたのちに
音譜をひろげて
てをつなぎ
にじのもようができました
花びらはうっとりとつやめきました