牡丹雪
夏嶋 真子
この浴槽を欲情で満たす牡丹雪
ひとひら、
口づけるたび、悲しみの温度が肌を焼く
ひとひら、
白い手に抱かれるまま、別れの雪を肌に降らす
この雪は溶けるため
この白は忘れるため
あなたはそこで
わたしだけ見つめていて
背中に蛇がはえるのを
紅牡丹が開くのを
わたしが雪にかわっていくのを
またたきさえ、許さない
今だけ見つめていて
雪が消えるその瞬間を
この欲情を抑揚で満たす牡丹雪
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牡丹雪
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夏嶋 真子
2009-02-27 17:03:01