水色煙
カチキ


ポケットから小銭を出そうと手をいれると
百円ライターが六つも出てきた



こいつらが
いつどうやって入ってきたのか思い出せない


赤 みどり 黄色 ラブホ スナック 水色







みどりとラブホは思い出した


おとつい行ったラブホで髭の男のみどり


あぁつまんなかった あのときはとんでもなくつまんなかった


我慢したね
がんばったね



こいつらは飛び降り自殺の刑だ


5階からサヨウナラー


着地音も聞こえない


しょうもない奴だった



合掌









そうだそうだ みずいろはあの子が貸してくれたんだ

そうだね そうだね チョコでも添えておかえししようか



残った赤 黄色 スナックは出所不明

たいした記憶でもないだろうに
思い出す必要もない

ゴミ箱行きで









日々日々 大事なもんといらないもんを仕分けして
いいとこ取りでいけりゃあいいけど
そうもいかない凡人の日常


こんな夜は
大事なもんをイップクのけむりに混ぜて


自由詩 水色煙 Copyright カチキ 2009-02-27 04:32:17
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