そこには大きな幸福も災いも無いだろうから
虹村 凌
自分だけが不仕合せだとカン違いしてる人にこれ以上合わせてられないと
ストロベリーチョコレートがスクリーンに横たわる
まるで何時か俺がぶっ放した弾丸みたいに
あなたの弾丸は眼球を突き抜けて
心のずっと奥の方へ飛んでいったよ
何度も繰り返されるもんだからすっかり覚えてしまったさ
弾丸の大きさ
色
形
温度
角度
動き方
でも何時までたっても痛いのは慣れないね
歯ァ喰い縛ったって
痛いもんは痛いさ
今日は煙草がやけに喉に引っかかりやがる
失態を繰り返し続ける俺の様な愚かな奴には
去り行く人間を引き止める力などありゃしない
ただ嘘でもいいから聞かせておくれ
何処かで待ってるって
妥協の理由を探して町中うろついて
他人のカン違いを頼りに煙草にありついて
それでも何処か待ってる君を捜す俺を信じたいのだ
笑うなよ
「笑ってないよ」
そんな風に
あぁそうだ
時々エレベーターのドアをこじ開けて
暗い穴の中に整列された薄明かりが漏れて
綺麗なんだろうなって想像したら
飛ぶ衝動が抑えきれないんだろうな
そんな事を考える事はあるかい?
あぁそうだ
ヴィックスヴェポラップを胸に塗り込んでくれないか
そうしたらその白い腕で抱きしめて眠ってくれないか
それなら安心して眠れそうな気がするんだ