赤い月
草野大悟

gerogeroto結婚指輪は雨蛙の口から吐き出されてくるのだけれど
げろげろと

あの日から消えてしまって指輪はどこをどう
彷徨ってるのか、分からないまま
ねえ
あんまりだよね、おれらにとっては、そう、あんまりだよ。

だって、動けないじゃん、あの日から。おまえらの、おかげで、大好き、動けないじゃん。
それで、言うんだよな、奴ら
過失ありません。
ダンナ。力。強そうだからカカエテもらえば・・・いいよね。ジャンじゃんジャじゃん。

と、執刀医はいまごろなにしてるのだろう。
もう、すっかり忘れてしまっているのだろう、四年だもの。
もう、すっかり。

尖る足、ねじ曲げられた左手、彷徨う脳髄
垂れ流しの花耳。

指輪、おまえのコアおまえの赤い月。


自由詩 赤い月 Copyright 草野大悟 2009-02-25 23:22:51
notebook Home