何時かあのフィラデルフィアの階段を
虹村 凌
世の中の奴が何を言ってるのかわからないんだ
難しい事を言っているようには聞こえないんだ
なのに何を言っているのか理解出来ない
きっと俺の言っている事も理解出来ない
そう言うと君は小さく笑って
じゃあ私が言う事も理解出来てないのねと言った
夢に見た事をずっと黙っておいたなら
いつかその夢が本当になるんじゃないかと
ふとした拍子に思ったんだよ
だから言わないままの事が幾つかあるんだ
そう言うと君は小さく笑って
私はあなたに嫌々犯される夢を見たわと言った
胴長のバスが走り抜けて再び部屋には俺以外いなくなる
夢を見ていた訳でもなければ幻影を見ていた訳でもない
何かと対峙していた訳でもなければ葛藤していた訳でもない
ただ何時かあのフィラデルフィアの階段を駆け上ろうと
コーラを飲み干した時に思いついたんだ