三月
小川 葉

  
あるべきところへ
おさまって
けれど
はみだしたところに
やさしさがある
ほんとうの

うちのつまにも
はみだしたところが
きっとある
ほんとうのやさしさが
うそばかりの
やさしさが

さんがつで
かのじょはたいしょくします
ときいて
わたしはきゅうに
かのじょにやさしくした
うそばかりなのに
うそなりの
ほんとうのやさしさで

せんぎょうしゅふになる
というかのじょに
わたしは
けんぎょうしゅふになることを
ていあんしたけれど

むりという
あなたはほんとうの
やさしさをうけいれるつもり
なのでしょう

うそのないやさしさは
いずれきびしい
かていとなって

それでも
そのひとときがおわったなら
それをやさしさとおもえる
あなたであってほしい

はるなのに
おわかれしなければならない
まだそうべつかいまで
ひとつきもあるというのに
わたしは
うそだらけのなみだを
すでにながしていた

しあわせになってね
きっとそれはうそではない
ほんものの
しあわせなのだと
しんじてくださいわたしも
しんじていますから

あるべきところへ
おさまってゆく
あなたがとても
すきでした

たとえそれが
うそだらけであっても
それだけが
しんじつでした

さよなら
またあしたあえるけど
あえなくなる
そのひがくるまで

さよならを
いわなければならない
そのひとに
ことばにならずに
かくしておきます

きょうの
みつめあったあなたの
ひとみのおくに
いまのこのひとときを
たいせつにほぞんします

たとえそれが
うそであったとしても

わたしたちは
いきています
 


自由詩 三月 Copyright 小川 葉 2009-02-25 02:05:32
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