工程
たもつ
石積みの朝
陸橋はその歪んだ影を
路面に落とし
昨日までの工程を語り終えると
あなたは静かに
最後の生理を迎えるのだった
+
足音が擦り切れていく
あなたにとって唯一の幸せとは
目を瞑ることだった
わたしたちは何度も
お互いの身体を成し遂げている
材質について確認しあい
時々ふと気づくのだった
わたしたちはまだ
声にすぎないのだ、と
+
すべての建物に
黄砂が優しく降り積もる頃
わたしたちは一枚の様式に
知っている言葉を書き連ねた
命の尊さを語る者に
命の尊さなどわかりはしない
何も誓うことなく
明日咲くかもしれない
つぼみの匂いをかいだ