見守る人
麻生ゆり

ひらり ひらり
それは春風が君をもてあそぶ音…
真っ白のワンピースが揺れて
まるで白鳥のようだ
ほころんだ笑顔が張りついて
君はとっても嬉しそう
いついつまでもこんな日が続くといいな…

さらり さらり
それは初夏の爽やかな空気…
汗が出るから夏は嫌いよって言ってた君も
日焼けして普段とはまた違った姿を見せてくれる
汗が目に入ってふと泣いて見える君が
ひどくいとおしい
この刹那の時を大事にしよう…

ふわり ふわり
それは紅葉が木から離れる瞬間…
頭に偶然落ち葉が触れると
その日一日幸せになれるというジンクスを信じていた君
だからわざと広葉樹の植えてある歩道を
2人一緒に手を繋いで歩いたね
君の手がやたらと小さかったことをよく覚えている…

ぐらり ぐらり
それは雪の上に倒れたときの君の姿…
急いでかけつけたけれども
君は動かなかった
それからのことはよく覚えていないけど
確かなことは
ただもう君は「ここ」にいないということなんだ…

きらり きらり
それは君の魂が星になったあかし…
たとえ独りでいても
夜になれば君は温かな微光をなげかけてくれることだろう
痛々しい心のささくれを
星になった君の光が癒してくれる
僕が君に出会えるそのときまで…


自由詩 見守る人 Copyright 麻生ゆり 2009-02-24 02:36:24
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