ウルフ&ラビット
こめ

赤い満月が暗い密林を包む

琥珀の毛並みの一匹狼は

この本能がうずく世界で獲物を探す

純白の毛の一匹兎は

本能のまま世界を飛び回る

この世界で狼はどん欲な男

兎はただのひ弱い女でしかなかった

2匹が出会ったとき

狼の本能がうずき

兎はただふるえるしかなかった

そこにいるのは一人の男と一人の女

男は女を押し倒す

こすれあう体

みだらに体のすみからすみまでなめずる

狼の悪魔のような舌

兎は辛そうにでも激しい快楽に

おぼれ飲まれる

狼はただ一心不乱に腰を振り

兎はそれを受けるだけの人形

男のほえる声と女の喘ぎ声だけが

この密林に響く

つながる下半身

それは生まれてきたものは

誰でも通る生きる物の本能

やらしく絡み合う純白の毛と琥珀の毛

愛液が飛び散り

ただ寂しくを紛らわすぬくもり

突き上げそのたび漏れる兎の声

もっと奥まで入れて

二人の衝動は激しくぶつかる

からみつく二人の舌

女は果て男は逝く

これ以上ない生命の子孫を残すための

太古から受け継がれし世界の法則

でもそれはただ快楽に浸るだけの行為

ずっといつまでもつながっている狼と兎は

紅色の満月におやすみをいい

また今夜も体を混じり合っていた



自由詩 ウルフ&ラビット Copyright こめ 2009-02-24 00:41:19
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