(無題)
キキ

ぬるい風がおびきよせるわたしたちの蜂
甘い匂いのする夏の終わり
なにもかもが蒼くて
中心の一片だけが白く冷め
わたしたちが目指す蜜

羽音はまだ遠いというのに
わたしたちは耳をふさいでうずくまっている
遠すぎてまだ見えない雲

稜線のむこうから
黒い風は吹き
あなたの質量を奪い去る
嵐を予感してはしゃぐ雨鳥の影

影だけになったら
焼けつくされたあとに立ち上がる新しい芽の
産毛に触れ
いつかの花に似た花になる


自由詩 (無題) Copyright キキ 2009-02-23 19:40:11
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
(無題)