深爪
三奈

「平穏」という名の

鎖に繋がれていれば安全で


私はいつも、じたばたと

鎖の届く範囲でもがいてた


日の当たらないこの部屋は

いつでも、じめじめと湿っぽく

私は、遠くにある陽だまりを見つけては

そこに行けないことが悔しくて

ただ、爪を噛み続けるの


さぁ、重い足かせは、外しましょう

鍵なら、ほら、私の手の中に


あの陽だまりまで、あと何キロ?

教えてくれる人なんて、いないけど


爪を噛むのは、やめましょう

悔しいなら、足を動かせ


短い爪は、やがて伸びる

あの陽だまりにつく頃には、きっと

ネイルの似合う綺麗な爪に、変わっている




自由詩 深爪 Copyright 三奈 2009-02-22 18:00:59
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