君をながめる
前澤 薫

湯上がり。
君のお尻から出る湯気。
ふと触りたくなる。

足を投げ出している。
ももには黒く固い毛が
ふさふさ。

足裏の模様。
幾層もだ円ヽヽを描いていて、
何だか不思議。

めくると
桃色をしたかわいい爪たちが
生きている。

思わずすべてを
ひっくり返したくなる。

ひっくり返して
すべてを見たくなる。

「おーい……」
返事がない。

短い寝息が
くりかえしくりかえし
聞こえる。

「疲れているのか」
固く締まった小さなお尻に
人さし指をぴんと当てる。


自由詩 君をながめる Copyright 前澤 薫 2009-02-19 16:02:00
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