どんなことばも拒絶して、きみは一心に運命の壁を叩いている。その運命の意味 をきみは知らない。だが、きみの心は叩くことを命じる。それが、心の意味であるかのように。
悲劇はいつも傍観者のために上演されていて、きみはその残虐な構造にうんざりしている。終幕の内側から青白い手が運命的に伸びて、空をつかむ。運命を共有すること。そこにある絶命の賭博性、あるいは天使の跳躍が課せられている。
傍観者の熱狂は地獄の叫喚に似ている。だがきみは毅然として上演の反復を拒む。瞬間の倫理を以て生の条件とする。ひかりの道が舞台の壁を粉砕して、まっすぐに外部へと延びる。心あるものはその道をゆけ、その道をゆけ。
諍いの砂漠にもこの純白の雪よねがわくば降り、積もれ。そこにある愛の意味を優しく守るように降り、積もれ。きみが叩く音がやがては運命の春をよび、壁のむこうに約束の地平をひらきますように。