消毒事件
A道化








白、白、白
白い雨に縫われ
この女の、この
表面が微かに夢見るぬるい穢れへの夢は
さらさら、さらさら
消毒されてゆきます


あ、
あの夜、あの、
うっとり、
ひとつの粘膜が女から永遠に離れた瞬間、
限りなく清潔な孤独をいちまい、まとい、
ああ、まだ知らずにいた、
いちまい、
まとい、


さらさら、さらさら、縫われ
白、白、白、白、塗られ
この冬のこの夜のこの、冬へ
縫われ、縫われ、塗られ、塗られ
さらにさらさら消毒されてゆく女が
無菌、と呟き、笑い始め、


2009.2.18.


自由詩 消毒事件 Copyright A道化 2009-02-18 20:44:42
notebook Home 戻る  過去 未来