貝殻のボタン
ふるる

夏の午後 影は濃く
姿勢の正しいあなた
まっすぐにねむる
貝殻のボタン
ひとつ失ったまま

くんと伸ばしたつま先から
夏が逃げてゆく
砂がはらりと落ちる
そして落ち続ける

傾いてゆく 日差し
傾いてゆく みんな
ぎらぎらと建つビル
ベーコンみたいな舌の犬
 
自転車でお使いに出る
サンダルの足にひゅんひゅん風
ひとつだけ約束をしたい
それを守りたい
  
目が覚めたら
どこに行っていたのと  
聞いて
わたしはにっこりして  
        
ひとつだけ約束をしましょう?
それを守りたいから
って言う
                       
そうして
何もないあなたの手のひらに
小さな貝殻のボタンを落とすわ
とても、小さな。


自由詩 貝殻のボタン Copyright ふるる 2009-02-18 01:13:00縦
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